店舗の突出看板や日よけが道路上空へ張り出す場合、建築工事の足場・仮囲いを道路上に設置する場合、道路の地下に給排水管等を埋設する場合などは、道路管理者の「道路占用許可」が必要になることがあります。
ただし、道路上に置く物なら申請によって何でも許可されるわけではありません。道路の占用は、法令で認められた物件について、道路外に設置する余地がなく、構造・場所等の基準に適合する場合に例外的に認められるものです。
本記事では、福岡市・糸島市周辺で道路占用許可を検討している方に向けて、許可対象、申請先、必要書類、占用料、道路使用許可との違い、申請から許可までの期間を、2026年8月22日時点の公表資料に基づいて整理します。
※許可の要否・許可基準・必要書類・占用料は、道路管理者、場所、物件、構造、占用期間等によって異なります。設置・工事の前に、道路管理者へ図面等を示して確認してください。
道路占用許可の要点
| 根拠法令 | 道路法第32条など |
| 主な対象 | 突出看板、日よけ、足場、仮囲い、地下埋設管、電柱など、 道路に設けて継続して使用する一定の物件 |
| 申請先 | 占用する道路の道路管理者(国・福岡県・福岡市・糸島市など) |
| 費用 | 原則として道路占用料。固定の申請手数料ではなく、 物件、数量・面積、期間、地域等により計算 |
| 福岡市道の目安 | 申請受理から許可まで2~3週間程度 |
| 糸島市道の目安 | 申請から許可まで概ね2週間~1か月程度 |
| 関連手続 | 道路使用許可、屋外広告物許可、工作物確認、道路工事施行承認などが別途必要となる場合あり |
処理期間は公表上の目安であり、事前相談、書類の作成・補正、警察との協議等に要する期間を含めて余裕を持つ必要があります。
参考:福岡市「道路の占用と占用手続き」/糸島市「道路の占用許可申請について」
道路占用とは
道路占用とは、一般交通以外の目的で、道路に一定の工作物・物件・施設を設け、継続して道路を使用することです。対象となる空間は路面だけではなく、道路の上空や地下も含まれます。
- 路面・地上:工事用の足場、仮囲い、電柱など
- 上空:建物から道路上空へ張り出す突出看板、日よけなど
- 地下:水道管、下水道管、ガス管、地下ケーブルなど
無許可で道路を占用した場合は、道路管理者から除却・原状回復等を求められることがあり、道路法第102条には、同法第32条第1項に違反した道路占用について1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が規定されています。
根拠法令:道路法第32条・第33条・第102条(e-Gov法令検索)
道路占用許可が検討される主な物件
道路法第32条第1項と道路法施行令第7条は、占用許可の対象となり得る物件を定めています。

| 物件 | 想定される場面 | 特に確認する事項 |
|---|---|---|
| 突出看板 | 店舗・事務所の壁面から道路上空へ看板が張り出す | 出幅、下端の高さ、道路境界、構造、屋外広告物許可 |
| 日よけ | 店舗の日よけが道路上空へ張り出す | 出幅、高さ、固定方法、歩行者・車両への影響 |
| 足場・仮囲い・保護棚 | 建築・解体・外壁工事で道路上または上空を使用する | 占用幅、残存幅員、工期、安全対策、道路使用許可 |
| 給排水管等 | 道路地下へ水道管、下水道管、ガス管等を設置する | 埋設位置・深さ、他の埋設物、掘削・復旧方法 |
| 電柱・電線等 | 道路敷地や道路上空へ公益物件を設置する | 設置位置、構造、道路管理・交通への影響 |
| 露店・食事施設等 | 祭礼、路上イベント、オープンカフェ等で道路空間を使用する | 通常の許可基準または特例制度、占用主体、道路使用許可 |
※「特に確認する事項」は、法令、道路管理者の許可基準および一般的な申請図面を基に整理した確認例です。具体的な許可基準や必要書類は、道路管理者、占用場所、物件の種類・構造等によって異なります。
上記に当てはまる名称の物件でも、個別の許可基準に適合しなければ許可されません。物件の設計や製作を確定する前の事前相談が重要です。
道路占用許可の条件
道路占用許可を受けるには、原則として次の条件を満たす必要があります。
- 道路法第32条第1項各号または道路法施行令第7条各号に定められた物件であること
- 原則として、道路の敷地外に設置する余地がないため、道路を占用することがやむを得ないこと
- 占用期間、場所、物件の構造、工事の方法・時期、道路の復旧方法等が、道路法施行令および道路管理者の許可基準に適合すること
さらに、公共性、将来の道路計画、道路構造の保全、歩行者・車両の安全なども踏まえて審査されます。申請書を提出すれば当然に許可される制度ではありません。
許可の申請先(道路の管理者)
道路占用許可の申請先は、申請者の住所ではなく、占用する道路の道路管理者です。同じ「国道」でも国が管理する区間と県等が管理する区間があるため、道路の名称だけで申請先を決めないよう注意してください。
| 道路 | 主な申請先 | 確認方法・注意点 |
|---|---|---|
| 国が管理する国道 | 国土交通省の国道事務所・出張所 | 道路占用システムによるオンライン申請または書面申請 |
| 福岡県管理の国道・県道 | 地域を管轄する県土整備事務所等 | 所在地・路線・管理区間を伝えて窓口を確認 |
| 福岡市道 | 各区役所の維持管理課または管理調整課 | 福岡市道路台帳で市管理道路か確認 |
| 糸島市道 | 糸島市建設課 提出部数:3部 | 市道認定のない市管理道路は法定外公共物の手続となる場合あり |
福岡市:申請書と添付資料は、事前に区役所へ相談・連絡したうえで電子メールにより提出することもできます。ただし、許可書等は窓口交付です。メールを送信しただけで申請内容が適法・完全と確認されたことにはなりません。
参考
国土交通省「道路占用許可手続」
福岡市「道路の占用と占用手続き」
糸島市「道路の占用許可申請について」/糸島市「各種ダウンロード(道路・河川)」
福岡市「電子メールを使用した道路占用手続きについて」
道路占用許可申請の流れ
占用場所の住所、道路名、道路境界、道路の管理者を確認します。突出看板や日よけでは、建物と道路の境界からどの程度張り出すかを測定します。
位置図、現況写真、平面図・断面図の案を用意し、許可対象となる物件か、どの基準が適用されるか、道路使用許可等の関連手続が必要かを確認します。
占用の目的、期間、場所、物件の構造・数量、工事の方法、復旧方法等を申請書へ記載し、図面・写真等を添付します。提出部数や指定様式は道路管理者ごとに異なります。
道路管理者へ申請します。占用内容が道路交通法の適用を受ける場合、道路管理者と警察署長との協議が行われます。足場設置や掘削工事等で道路を使用するときは、道路使用許可もあわせて確認します。
道路管理者の案内に従って占用料を納付し、許可書の交付を受けます。許可前に設置や工事を開始してはいけません。
許可期間、設置位置、構造、工事方法、安全対策、道路復旧等の条件を確認します。道路管理者によって、工事着手届、完了届、工事前・施工中・工事後の写真等が必要です。
主な必要書類
一般的には次の資料を準備しますが、すべての申請で同じ書類が必要になるわけではありません。物件や道路管理者によって、強度計算書、設置場所の権利者等から同意を得たことを証する書類、地先の土地・建物使用者等の同意書、理由書、基礎詳細図などが必要となる場合があります。
| 書類・図面 | 主な内容 |
|---|---|
| 道路占用許可申請書 | 目的、期間、場所、物件情報・数量、復旧方法等 |
| 位置図・見取図 | 占用場所と周辺道路との位置関係 |
| 現況平面図 | 道路区域境界・官民境界、車道・歩道の幅員、既存構造物、既存の占用物件など |
| 計画平面図・求積図・求積表 | 設置予定位置、占用物件の寸法、境界からの距離、占用面積・延長などの算定根拠 |
| 断面図・立面図 | 道路と占用物件の位置関係、高さ、出幅、埋設深さ・土被り、歩行者等の通行空間や残存幅員 |
| 構造図 | 材質、部材寸法、固定・取付方法、基礎の形状・寸法など |
| 現況写真 | 占用する道路面、建物、道路境界、周囲の状況 |
| 交通規制図・保安図 | 工事帯、歩行者動線、車両、カラーコーン、警備員等の配置 |
必要となる図面の名称・縮尺・記載事項は、占用物件や道路管理者によって異なります。申請前に道路管理者へ確認してください。
道路占用料はいくらかかるか
道路占用料は、行政書士へ支払う報酬や一律の申請手数料ではなく、公共用物である道路を継続して使用することについて道路管理者へ納付する費用です。
道路占用料は、道路管理者が定める条例・規則等に基づき、占用物件の種類、数量、占用面積または延長、占用期間、所在地の区分などから算定されます。算定単位は「1本・1年」「1メートル・1年」「1平方メートル・1年」「1平方メートル・1月」など物件によって異なるため、単純に「面積×期間」だけで一律に計算することはできません。
福岡市が管理する道路の占用料は、福岡市道路占用料徴収条例で確認できます。
糸島市が市道認定している道路については、糸島市「道路の占用許可申請について」に掲載されている「糸島市道路占用に関する条例」および糸島市建設課で確認します。
福岡県が管理する国道・県道については、福岡県道路占用料徴収条例、同条例施行規則および管轄する県土整備事務所・支所で確認してください。糸島市内の県管理道路については、福岡県土整備事務所前原支所が窓口です。
設計変更により、占用物件の種類、寸法、数量、占用面積、延長または期間が変わると、占用料が再算定される場合があります。許可後に計画を変更するときは、変更手続の要否も含め、施工前に道路管理者へ確認してください。
道路使用許可・屋外広告物許可との違い
| 手続 | 主な目的・対象 | 申請先 |
|---|---|---|
| 道路占用許可 | 道路に一定の物件を設けて継続使用することを、道路管理の観点から審査 | 道路管理者 |
| 道路使用許可 | 道路上の工事・作業等を、交通の安全と円滑の観点から審査 | 使用場所を管轄する警察署長 |
| 屋外広告物許可 | 看板等の表示・設置を、景観・安全等の観点から審査 | 屋外広告物を所管する自治体 |
| 道路工事施行承認 | 道路管理者以外の者が、歩道切下げ等の道路工事を自費で行う場合 | 道路管理者 |
例えば、道路上に足場を設置して外壁工事を行う場合は、道路占用許可と道路使用許可の両方が必要になることがあります。突出看板では、道路占用許可に加えて屋外広告物許可や、規模によって建築基準法上の工作物確認が問題になる場合があります。
道路使用許可についての記事はこちらです

許可後の更新・変更・廃止
道路占用許可には占用期間があります。期間満了後も占用を続ける場合は更新手続が必要です。占用者、占用物件、数量、構造、期間等を変更する場合も、変更申請や届出が必要となることがあります。
占用を廃止するときは、占用物件を撤去し、道路管理者の指示に従って道路を原状回復したうえで、廃止届等を提出します。更新案内が届かなかったことだけを理由に、無許可で占用を継続できるわけではありません。許可書に記載された期間と条件を管理してください。
よくある質問
私有地に置く看板にも道路占用許可が必要ですか?
看板全体が私有地内に収まり、道路の上空・地下を使用しない場合は、通常は道路占用許可の問題ではありません。ただし、屋外広告物許可、工作物確認、地区独自の景観ルール等が別に問題になることがあります。道路境界が不明な場合は、境界を確認してから設計してください。
看板が少しだけ道路上空へ出る場合も申請が必要ですか?
張り出しが小さくても、道路境界を越えて道路上空を継続使用する場合は、道路占用許可の要否を確認する必要があります。出幅、下端の高さ、表示面積、構造等を図面にして道路管理者へ相談してください。
道路使用許可を取れば、足場を道路上に置けますか?
道路使用許可だけで足りるとは限りません。足場等を道路上に設けて継続使用する場合は、道路占用許可も必要になることがあります。道路管理者と管轄警察署の双方へ確認してください。
許可が出るまで何日かかりますか?
福岡市道は申請受理から2~3週間程度、糸島市道は申請から概ね2週間~1か月程度と公表されています。ただし、不備の補正、警察協議、特殊な案件の審査等により延びる可能性があります。設置日・着工日から逆算し、図面が固まる前から相談してください。
すでに設置している看板や日よけは、後から申請できますか?
すでに設置している場合でも、まず道路管理者へ設置場所、寸法、構造、設置時期などの現状を正確に伝え、申請の可否と是正方法を確認してください。
ただし、後から申請すれば当然に許可されるわけではなく、許可を受けるまでの無許可占用が正当化されるものでもありません。道路管理者による審査の結果、占用許可基準に適合しない場合は、構造の改修、敷地内への移設または撤去等を求められる可能性があります。自己判断で申請書だけを提出するのではなく、先に道路管理者へ相談することが重要です。
福岡市・糸島市周辺の道路占用許可申請をサポートします
道路占用許可では、道路管理者の特定、道路境界の確認、占用物件の基準確認、平面図・断面図等の作成、道路使用許可等との調整などの対応が必要です。都留行政書士事務所では、福岡市・糸島市周辺の道路占用許可について、次のようなご相談に対応します。
- 突出看板、日よけ、足場、仮囲い等に道路占用許可が必要か整理したい
- 道路管理者と申請窓口を確認したい
- 道路管理者への事前相談に必要な資料を整理したい
- 道路使用許可や屋外広告物許可を含めて必要な手続を整理したい
お問い合わせの際は、分かる範囲で次の資料・情報をご用意ください。
- 占用予定場所の住所と位置図
- 看板、日よけ、足場、埋設管等の物件
- 設置予定期間・工事予定期間
- 現況写真
- 物件の寸法・構造が分かる図面
- 道路境界や道路管理者の確認状況
※道路占用許可の可否・許可条件は道路管理者が審査・判断します。当事務所が許可取得や特定日までの処理完了を保証するものではありません。測量、構造計算、設計、工事、警備等が必要な場合は、それぞれの専門事業者との連携が必要になることがあります。



