福岡市・糸島市の飲食店営業許可|必要書類・費用・申請の流れ

許認可

飲食店営業許可で最も重要なのは、申請書を提出することよりも、物件の契約や内装工事の前に、営業内容と図面を管轄窓口へ確認することです。

福岡市・糸島市で飲食店を開業する場合は、原則として営業開始前に飲食店営業許可を取得し、施設検査を受ける必要があります。完成後に手洗い設備や厨房の区画などが施設基準に適合していないと、追加工事や開業日の延期につながる可能性があります。

また、福岡市と糸島市では、申請窓口や手数料、窓口での運用が同じではありません。本記事では、2026年8月21日時点の公表資料を基に、必要書類、費用、申請の流れ、施設基準、関連手続を分かりやすく整理します。

※営業内容、施設、提供する食品、申請時期によって必要な手続は異なります。実際の申請前には、施設所在地を管轄する行政機関へ最新情報をご確認ください。

物件契約や内装工事の前に、メニューと厨房図面を確認しておくことが大切です。

福岡市・糸島市の飲食店営業許可で最初に確認すること

飲食店営業は、食品衛生法第55条および食品衛生法施行令第35条に定められた許可業種です。レストラン、居酒屋、カフェなど、設備を設けて食品を調理し、客に飲食させる営業を始める場合は、営業施設ごとに許可を受ける必要があります。

ただし、必要な許可は店の呼び方ではなく、実際の営業内容によって判断されます。店内飲食に加えて菓子やそうざいを製造・包装して販売する場合、食肉や魚介類を販売する場合、キッチンカーやイベントで営業する場合などは、飲食店営業許可とは別の許可や届出が必要になる場合があります。

最初に、次の内容を整理してください。

  • 提供するメニュー
  • 店内飲食、テイクアウト、デリバリーの有無
  • 仕込みを行う場所
  • 食品を包装して販売するか
  • 酒類を店内で提供するか、持ち帰り用として販売するか
  • 深夜0時以降に営業するか
  • 既存店舗を引き継ぐのか、新しく設備を設けるのか

これらを整理したうえで、平面図やメニュー案を持って工事前に相談すると、必要な許可と設備を確認しやすくなります。

福岡市と糸島市の申請窓口・手数料

福岡市・糸島市の相談・申請窓口と申請手数料は以下の通りです。

項目福岡市糸島市
相談・申請窓口施設所在地を管轄する区の衛生課福岡県糸島保健福祉事務所 保健衛生課
常設店舗の新規申請手数料16,600円16,000円

※申請手数料は改定されることがあるため、申請前に糸島保健福祉事務所へご確認ください。

申請は厚生労働省の食品衛生申請等システムを利用してパソコンやスマホからのオンライン申請も可能ですが、事前にアカウントの作成が必要です。また、手数料の支払いはオンラインではできませんので、窓口での支払いが必要です。

※上記は2026年8月21日時点の公表情報です。

飲食店開業までの流れ

  • 業態・メニュー・販売方法を決める

    まず、提供する食品、調理工程、仕込み場所、保存方法、店内飲食と持ち帰りの範囲を整理します。営業内容によって、飲食店営業許可だけで足りる場合と、別の許可や届出も検討すべき場合があります。

  • 物件契約・内装工事前に相談する

    候補物件の平面図や厨房図面、メニュー案を用意し、施設所在地を管轄する窓口へ相談します。施設完成後に基準不適合が見つかると、手洗い設備の交換、厨房区画の変更、設備の追加などが必要になる場合があります。

    可能であれば、賃貸借契約の締結前、遅くとも内装工事の発注前に確認してください。

  • 施設基準に沿って図面を確定し、工事を行う

    保健所等との事前相談結果を施工業者へ共有し、設備の種類、位置、厨房と客席の区画、手洗い設備、水栓、冷蔵設備、保管設備などを図面に反映します。

  • 食品衛生責任者とHACCPの準備をする

    営業施設ごとに食品衛生責任者を置く必要があります。また、原則として、食品等事業者にはHACCPに沿った衛生管理が求められます。開業までに衛生管理計画を作成し、実施内容を記録・保存できる状態を整えます。

  • 営業許可を申請し、検査日を調整する

    申請書、施設図面、食品衛生責任者の資格を証明する書類などを提出し、手数料を納付します。申請内容に不足や修正がある場合は補正し、施設検査の日程を調整します。

  • 施設検査を受ける

    施設が営業できる状態になった段階で、担当者による確認を受けます。営業者、食品衛生責任者など、設備や営業内容を説明できる方が立ち会います。基準に適合しない部分がある場合は、改善後に再検査が必要です。

  • 許可を受けてから営業を開始する

    施設基準への適合が確認され、営業許可を受けた後に営業を開始します。開業後も、HACCPに沿った衛生管理を実施し、記録の保存と定期的な見直しを行います。

施設検査で確認される主なポイント

施設基準は業態・施設によって異なるため、図面段階で確認してください。

福岡県の施設基準では、主に次のような構造・設備が求められています。
※糸島市内では福岡県の施設基準、福岡市内では福岡市の施設基準を確認してください。以下は福岡県の施設基準を中心とした主な確認項目です。

  • 手洗い設備:従事者が手指を洗浄・消毒できる流水式設備を必要な数設け、水栓は洗浄後の手指を再汚染しない構造にする
  • 洗浄設備:食品や器具の用途に応じた大きさと数を確保する
  • 冷蔵・冷凍設備:取り扱う食品に必要な容量を確保し、温度計を備える
  • 保管設備:原材料を衛生的に保管し、洗剤・殺菌剤などの薬剤は食品と区分して保管する
  • 廃棄物容器:十分な容量があり、清掃しやすく、汚液や臭いが漏れにくい構造にする
  • 区画:作業区分に応じて必要な区画を設け、住居など食品を扱わない場所と区分する
  • 防虫・防鼠:ねずみや昆虫の侵入を防止する設備を設ける
  • 便所:作業場へ汚染の影響を及ぼさない構造とし、専用の流水式手洗い設備を設ける
  • 給排水:必要な場所に十分な量の水を供給でき、汚水が逆流しない排水設備を設ける

必要な設備や区画方法は営業内容や施設によって異なります。一律に判断せず、図面とメニューを示して確認することが重要です。

参考:福岡県「営業施設基準の改正について」

飲食店営業許可の申請に用意する主な書類

一般的には、次の書類・情報を準備します。

  • 営業許可申請書
  • 営業施設の構造・設備を示す図面
  • 食品衛生責任者の資格を証明する書類
  • 水道水以外の水を使用する場合は水質検査成績書
  • 法人の場合は法人番号などの申請者情報
  • 主として取り扱う食品、営業形態、担当者等の情報

※福岡市のオンライン申請案内では、水質検査成績書は検査日から1年以内のものとされています。糸島市の場合は事前に管轄窓口へ確認をお願いします。

食品衛生責任者について

飲食店営業の営業者は、施設ごとに食品衛生責任者を置かなければなりません。営業者本人が要件を満たしていれば、自ら食品衛生責任者になることもできます。

食品衛生責任者になれる方の例は次のとおりです。

  • 認定された食品衛生責任者養成講習会を修了した方
  • 調理師
  • 栄養士・管理栄養士
  • 製菓衛生師
  • 食品衛生監視員または食品衛生管理者となることができる方
  • その他、法令・自治体の基準で認められる方

参考:
福岡市「食品衛生責任者について」
福岡県「食品衛生責任者について」

HACCP衛生管理について

2021年6月1日から、原則として、すべての食品等事業者にHACCPに沿った衛生管理が求められています。小規模な飲食店では、業界団体が作成し、厚生労働省が内容を確認した手引書を参考に「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」を行う方法があります。

営業者が行う主な内容は次のとおりです。

  1. 一般的な衛生管理とHACCPに沿った衛生管理について、衛生管理計画を作成する
  2. 従業員へ計画を周知する
  3. 必要に応じて清掃、洗浄、消毒、食品の取扱い等の手順書を作成する
  4. 計画に沿って実施し、その状況を記録・保存する
  5. 定期的に振り返り、必要に応じて計画や手順を見直す

参考:
厚生労働省「HACCP(ハサップ)」
福岡市「HACCPのはじめかた」

消防・建築関係の確認

飲食店営業許可を取得できても、建築基準法や消防法令に適合していなければ、予定どおり営業できない可能性があります。

飲食店などの特定防火対象物では、消防法令上の収容人員が30人以上となる場合、防火管理者の選任や消防計画の作成等が必要です。収容人員は単純な座席数だけで決まるものではないため、所轄消防署へ確認してください。

また、既存建物を飲食店へ用途変更する場合、用途変更部分が200平方メートルを超えると、原則として建築確認申請が必要になります。200平方メートル以下で確認申請が不要な場合でも、建築基準法への適合が不要になるわけではありません。

参考:福岡市「守ろうルール・なくそう違反建築」

追加の許可・届出が必要なケース

営業内容によって追加の許可・届出が必要です

深夜0時以降に酒類を提供する場合

バーや酒場など、深夜0時から午前6時までの間に設備を設けて客へ酒類を提供する営業は、「深夜における酒類提供飲食店営業」に該当し、管轄警察署への営業開始届出が必要になる場合があります。

営業の常態として、通常主食と認められる食事を提供する営業は対象から除かれますが、メニューに主食があるだけで直ちに除外されるわけではありません。営業実態を基に判断されます。対象となる場合、届出は原則として営業開始10日前までに行います。

参考:福岡県警察「風営法による許可・届出の対象となる主な営業」

持ち帰り用の酒類を販売する場合

店内で酒類を提供するだけであれば酒類販売業免許は不要ですが、未開封の酒類などを、客が店外で飲用する持ち帰り用として継続的に販売する場合は、原則として酒類小売業免許が必要です。

参考:国税庁「販売業免許関係Q&A」

菓子・そうざい等を製造販売する場合

店内で調理した料理を提供するだけでなく、菓子やそうざいを製造して販売する場合は、営業内容に応じて菓子製造業、そうざい製造業などの許可が必要となることがあります。

ただし、「持ち帰り販売をする」「包装する」という事情だけで、必要な許可が一律に決まるわけではありません。取り扱う食品、製造・加工工程、保存方法、販売形態、施設設備などを踏まえて判断されます。単に既製品を小分け・包装する場合には、食品の小分け業が問題となることもあります。

メニュー、製造工程、包装方法、保存温度、販売方法を整理したうえで、工事や設備購入の前に管轄保健所へ確認しましょう。

よくある質問

居抜き物件なら、そのまま営業できますか?

居抜き物件であっても、前の営業者の許可を当然に使用できるわけではありません。営業者の変更や営業内容、設備の変更によって、新規申請または承継届等の検討が必要です。

2023年12月13日から、一定の事業譲渡については、新たな許可を取得せず、届出により営業者の地位を承継できる制度があります。ただし、単に内装設備を買い取る場合や賃貸借契約を引き継ぐ場合が、必ず制度上の事業譲渡に該当するとは限りません。契約前に窓口へ確認してください。

食品衛生責任者は申請者本人でなければいけませんか?

申請者本人である必要はありません。施設ごとに、要件を満たす方を食品衛生責任者として設置します。申請者本人が資格要件を満たしていれば、自ら就任することもできます。

オンライン申請だけで手続は完了しますか?

福岡市ではオンライン申請が可能ですが、手数料の支払いと検査日時の調整は窓口で行います。施設検査も必要です。

許可を受ける前に営業を始められますか?

飲食店営業許可が必要な営業は、許可を受ける前に開始できません。工事の遅れや再検査も想定し、許可確認後に営業を始められるよう開業日を設定してください。

自宅の一部でカフェや食品販売はできますか?

可能な場合はありますが、食品を取り扱う場所と住居部分との区画、施設基準、建築・消防・用途地域上の問題などを確認する必要があります。一般家庭の台所をそのまま営業施設として使用できるとは限りません。

テイクアウトを始めると別の許可が必要ですか?

店内で提供している料理を同じ施設で調理し、短時間で消費される形で持ち帰り提供する場合など、飲食店営業許可の範囲で対応できることがあります。一方、包装した食品の製造販売、卸売、保存性を持たせた製品の製造などは、別の許可が必要になる可能性があります。食品、工程、包装、保存方法、販売先を示して確認してください。


福岡市・糸島市周辺の飲食店営業許可申請をサポートいたします。

飲食店営業許可では、申請書の作成だけでなく、営業内容に合う許可を整理し、工事前に施設基準を図面へ反映することが重要です。次のようなご相談がございましたら、まずはお気軽にご連絡ください。

  • 営業内容から必要な許可・届出を整理したい
  • 保健所等への事前相談に使用する内容を整理したい
  • 営業許可申請書の準備を依頼したい
  • 開業準備に集中するため、申請手続を任せたい

お問い合わせの際は、分かる範囲で構いませんので、次の情報をお知らせください。

  • 店舗の所在地または候補地域
  • 開業予定日
  • 提供予定のメニュー
  • 店内飲食、テイクアウト、酒類提供の有無
  • 物件の平面図・厨房図面の有無
  • 物件契約・内装工事の進行状況

※許可の可否は行政機関が審査・判断します。当事務所が許可取得や特定の処理期間を保証するものではありません。ご依頼内容や施設の状況により、建築士、消防設備士、税理士等の確認が必要になる場合があります。

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