今回は公正証書遺言についてご説明させていただきます。


令和7年の公正証書遺言作成件数は12万3891件でした。例えば令和5年度の情報としましては公正証書遺言作成件数は11万8981件、自筆証書遺言保管制度の利用件数は1万9303件となっておりますので、公正証書遺言はもっとも利用されている遺言方式であり、かつ年々作成される方が増加傾向にあることがわかります。
遺言の必要性が高いケース
まずは遺言の必要性が高いケースのご説明です。
①夫婦の間に子がないとき
遺言がないと、法定相続により亡くなった配偶者の父母や兄妹、あるいはその子供らに財産の一部が相続されます。遺言をしておくことで配偶者への相続を増やす、または兄妹やその子供らへの相続を行わなくすることができます。
②再婚しているとき
先妻の子などがいるときは相続に関する争いが起こる可能性が高いので遺言作成は相続人の争いを避けるための有効な手段です。また、内縁の妻の場合には、相続人ではないので、遺言がないと遺産を与えることができません。※特別の寄与の制度(改正民法第1050条)を利用する場合を除く
③事業を承継させたいとき
事業に関する資産、株式を誰にどのように承継させるか、その場合の遺留分の扱いなどを明確にすることにより円滑な事業継承を行います。※中小企業の事業承継についての特例あり
④法定相続人がいないとき
遺言がないとそのまま国庫に帰属することになります。
⑤相続人ではない第三者に遺贈するとき
”特別の寄与”がある方は相続人に対して金銭請求をすることができますが、あらかじめ遺言を残すことによりこの請求を行うことなく遺贈を受けることができるようになります。
⑥法定相続人に相続させたくないとき
特定の相続人に対して財産を渡さないという意味での遺言です。法律上、推定相続人からの廃除制度はありますが、これには被相続人に対する虐待若しくは重大な侮辱、又はその他の著しい非行があったときなどの要件があり、当てはまらない場合も考えられます。その場合、あらかじめ遺言により対象の推定相続人以外への相続を明記しておけば、実質的に特定の推定相続人を相続から排除することができます。
公正証書遺言のメリット
次に公正証書遺言のメリットですが、大きく以下の3つが考えられます。
①公証人により内容の正確性、遺言要件充足確認
公証人は遺言内容の正確性、遺言要件の不備がないなどのチェックを行います。また、個々の遺言文言の特定具合や、条件の有効性、全体矛盾の有無、抜け漏れなど、一つ一つの項目について確認を行います。また利害関係者から異議が生じる可能性、遺留分侵害額の程度、その解決策など、遺言文言により執行が円滑に行えるかを検討します。こうして作成された遺言書になりますので、執行時においては、他方式の遺言と比較してスムーズな執行が期待できます。
②執行時の検認が不要である
自筆証書遺言や秘密証書遺言では家庭裁判所の検認が必要になりますが、それが不要です。※自筆証書遺言保管制度を利用すると自筆証書遺言も検認不要となります。
③安全確実な保管
自筆証書遺言は、誰にも分らない場所に保管すると死後に遺言が発見されることなく、結局遺産分割協議での相続になってしまう可能性がございます。また信用できる他人に預けるという方法もありますが、その方が成年被貢献人になったっり死亡した場合など、遺言書の有無が不明となる可能性もございます。さらには、遺言の内容が漏洩するリスクもあり、その場合、内容に不服がある相続人などに改ざん・破棄される可能性もございます。
その点については、公正証書遺言の原本は公証役場で保存しており、破棄・改ざんのおそれはなく、天災等への備えもできています。また、相続が発生するまでは本人以外に開示することもなく安心安全です。
公正証書遺言のデメリット
一方で、公正証書遺言を選択するデメリットもございます。その中で、最大のデメリットはやはり費用になるかと思います。作成手数料は財産の価額で決まっており、1,000万円程度であれば20,000円、5,000万円以下では33,000円、1億円では49,000円となっています。しかしながら、公証役場での保管は120歳までとなっておりますので、例えば60歳で遺言書を作成するとした場合は60年間の保管+前述のメリットありですので、考え方によってはデメリットではないのかもしれません。
公正証書遺言の作成手数料については 日本公証人連合会サイト をご参照ください。
遺言書作成についてご検討中の方、お困り方は、是非、都留行政書士事務所にお手伝いをさせてください。



