デジタル化・AI導入補助金2026 セキュリティ対策推進枠|小規模事業者の費用・条件と選び方

デジタル化・AI導入補助金2026|セキュリティ対策推進枠 補助金・給付金

受注データが開けない。請求書を発行できない。取引先からの問い合わせに答えられない。サイバー攻撃による被害は、パソコンの故障だけでなく、日々の仕事や取引先との関係にも及びます。

デジタル化・AI導入補助金2026の「セキュリティ対策推進枠」は、所定のセキュリティサービスの導入費用を支援する制度です。小規模事業者は補助率2/3、補助額は5万円から150万円まで。専任のIT担当者を置きにくい事業者にとっても、対策を外部の専門家に相談するきっかけになります。

この記事では、行政書士が、制度の条件とあわせて、元SE・プロジェクトマネージャーとしての経験から、サービス選びで確認したい点を整理します。

2026年9月23日時点の公募要領・公式情報に基づきます。補助金の交付には審査があり、申請すれば必ず受け取れるものではありません。



セキュリティ対策推進枠は、どのような制度?

対象となるのは、IPA(情報処理推進機構)の「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載され、さらに補助金のITツールとして登録されたサービスです。サービス利用料の最大2年分が補助対象となります。

項目内容
補助対象者所定の要件を満たす中小企業・小規模事業者等。個人事業主も対象
補助率小規模事業者:2/3以内
その他の対象となる中小企業等:1/2以内
補助額5万円以上150万円以下
補助対象経費登録された対象サービスの利用料(最大2年分)
申請方法IT導入支援事業者と連携して申請。対象サービス単独での申請も可能

市販のウイルス対策ソフトや機器を自由に購入し、後から補助を受ける仕組みではありません。IPAへの掲載と、補助金のITツール登録の両方を確認しましょう。

出典:公式「セキュリティ対策推進枠」、公募要領・本文14ページ

小規模事業者とは?

この枠の補助率2/3が適用される小規模事業者は、会社または個人事業主のうち、常時使用する従業員数が次の基準に該当する事業者です。

業種従業員数の基準
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)5人以下
サービス業のうち宿泊業・娯楽業20人以下
製造業その他20人以下

「常時使用する従業員」は単純な在籍人数とは異なります。会社役員や個人事業主本人などの扱いを確認し、パート・アルバイトも雇用実態に応じて判断します。また、人数が基準内でも、大企業との資本関係など、ほかの要件によって対象外となる場合があります。

出典:公募要領・本文6~8ページ

「お助け隊サービス」で、何を任せられる?

サイバーセキュリティお助け隊サービスは、中小企業向けに「見守り」「駆け付け」「保険」などをまとめたサービスです。ただし、監視する対象や事故時の支援範囲、保険の補償内容はサービスごとに異なります。

監視の種類主な仕組み選ぶときの確認点
ネットワーク監視社内と外部のネットワークの間に設置するUTMなどで、不審な通信を監視外部ネットワークとの接続、事務所・工場など拠点間通信の経路など
端末監視パソコンなどに導入するEDRで、不審な動作を監視社外に持ち出す端末も対象か。対応するOSや端末数はどうか
両方を組み合わせた監視ネットワークと端末の両面から監視監視の漏れや重複、必要な台数と費用のバランスはどうか

例えば、事務所内だけで仕事をする場合と、建設現場や顧客先へパソコンを持ち出す場合では、守るべき範囲が違います。「機器を置けば全部守られる」と考えず、自社の働き方を伝えて相談しましょう。

仕組みの出典:IPA「サイバーセキュリティお助け隊サービス」

SEとして経験した、仕事が止まることの重さ

私自身、SE・プロジェクトマネージャーとして、お客様がランサムウェアの被害を受けた際の復旧対応を担当した経験があります。

サーバー内のデータがサイバー攻撃により暗号化され、取引先との受発注や納品に関わる業務ができなくなりました。昼夜を問わず対応しましたが、業務再開まで約1週間、完全復旧まで約1か月を要しました。その間、お客様は手作業で業務をつないでいました。

これは当時担当した個別の事例であり、被害の規模や復旧期間は状況によって異なります。それでも強く感じたのは、失うものが復旧費用だけではないということです。従業員の時間、受注の機会、取引先からの信頼にも影響します。

だからこそ、サービスを選ぶ際、あるいはセキュリティ対策を検討する際には、攻撃を発見・防御する仕組みだけではなく、「止まったときに誰がどう動き、何から仕事を戻すか」まで考えておく必要があると考えています。

SEの視点:導入前に確認したい5つのこと

ここからは補助金の申請要件ではなく、当事務所がおすすめする準備の方法です。大がかりな調査ではなく、まずは次の5つを、経営者と普段パソコンを使う方で確認してみてください。

1.止まると困る業務とデータは何ですか?

受注、請求、給与、設計、施工管理などから、止まると特に困る業務を挙げます。その業務で使うパソコン、サーバー、クラウドサービスと、データの保存先をメモにまとめましょう。

「顧客台帳は担当者のパソコンだけ」「図面は事務所の共有フォルダー」など、保管場所と管理する人がわかるだけでも、検討の出発点になります。

2.守る範囲に、抜けはありませんか?

事務所のパソコンだけでなく、現場へ持ち出す端末、在宅勤務用の端末、別拠点に設置の機器なども洗い出します。そのうえで、対策が必要な機器台数や拠点数と確定してください。

クラウド上のデータやアカウントがどこまで支援対象になるかも確認が必要です。

3.異常が起きたら、誰がどのように対応しますか?

ITサービスベンダーの監視時間と、電話相談・遠隔対応・訪問対応の受付時間などを確認します。休日の異常通知が誰に届くのか、追加料金が発生する対応は何かなども確認しておきましょう。また、感染が疑われる端末の切り離しを誰が行うのかなどの社内ルールの検討も必要です。

4.バックアップから、仕事を戻せますか?

監視サービスを導入しても、バックアップの取得やデータの復旧まで当然に含まれるとは限りません。契約範囲を確認し、別途必要な対策を整理します。

何を、どの頻度で、どこに保存し、誰が復元するのか。重要なデータはバックアップがあるかだけでなく、実際に戻せるかも確認しましょう。受注や請求など、再開する業務の優先順位を決めておくことも有用です。

5.補助期間が終わっても、無理なく続けられますか?

補助対象は最大2年分ですが、対策はその後も続きます。更新後の料金、端末追加時の費用、機器の更新・返却条件、契約終了時の作業まで確認してください。

日々の運用においては、異常通知の確認、端末の追加・廃止の連絡、バックアップの点検など、必要な作業をわかりやすくマニュアル化しておくことをおすすめします。「導入して終わり」ではなく、自社で回せる運用にすることが大切です。

費用の考え方:補助金は後払いです

例えば、小規模事業者が補助対象経費24万円(税抜き)のサービスを導入する場合、補助率2/3で計算すると補助額は16万円、対象経費に対する自己負担は8万円です。

ただし、補助金は支払い・実績報告等を経た後に交付されます。消費税10%で全額を一括払いする例なら、先に26万4,000円を支払う資金が必要です。補助金16万円を受け取った後の支出との差額は10万4,000円となります。

見積もりでは「契約総額」「補助対象となる金額」「対象外の費用」「更新後の費用」を分けて確認すると、資金計画を立てやすくなります。

申請前に確認したい要件と、過去の利用歴

申請にはGビズIDプライムや、SECURITY ACTIONの「一つ星」または「二つ星」の宣言などの準備が必要です。また、所定の3年間で労働生産性の年平均成長率1%以上を目指す事業計画が求められます。

特に注意したいのは、過去の補助金利用歴です。次の2つは別の条件なので、混同しないようにしましょう。

過去にIT導入補助金の交付決定を受けている場合

2022~2025年度のIT導入補助金で交付決定を受けた事業者は、原則として、所定の3年間で1人当たり給与支給総額を年平均3.5%以上増加させる計画などが追加で必要です。※医療・福祉等には所定の例外があります。

過去に「お助け隊サービス」を含む申請をしている場合

2022~2025年度に、お助け隊サービスを含むITツールで交付決定を受けている場合は、この枠に申請できません。2026年度の他枠等で同サービスを含む申請中・交付決定済みの場合にも制限があります。

出典:公募要領・本文7~11ページ(申請要件)、本文18ページ(申請上の制限)

申請から導入までの流れ

守る業務・端末・拠点を整理する

対象サービスとIT導入支援事業者を選び、登録内容、見積もり、対応範囲を確認します。

申請の準備をする

GビズIDプライム、SECURITY ACTION、事業計画、添付書類を整えます。法人は登記・納税・決算関係、個人事業主は本人確認・納税・確定申告関係など、申請者に応じた書類が必要です。

交付申請し、交付決定を待つ

IT導入支援事業者と連携して申請します。正式な発注・契約は交付決定まで行わないように注意してください。

交付決定後に補助事業を実施する契約・導入・支払いを行う

期限内に契約・導入・支払いを完了します。契約書・請求書・支払証憑等を保管します。

実績報告と、その後の効果報告を行う

実績報告の審査等を経て補助金が交付されます。導入後も、所定の効果報告や、該当する場合の賃金の報告が必要です。

契約・発注は、交付決定後です。
交付決定前に発注・契約・納品・支払い等を行ったものは補助対象外です。また、効果報告の完了前に解約・利用停止する場合は、辞退手続きや補助金返還が生じることがあります。変更前にIT導入支援事業者・事務局へ確認してください。

出典:公募要領・本文16~18ページ、本文23~28ページ

第6次締切分の日程

第6次締切分のスケジュールは以下の通りです。
※第7次締切分は2026年12月1日(火)17:00

手続き日程
6次交付申請締切2026年10月30日(金)17時
交付決定2026年12月10日(木)予定
事業実施・実績報告期限2027年5月31日(月)17時予定

日程の変更や次回の募集は、公式の事業スケジュールで「セキュリティ対策推進枠」をご確認ください。補助金の交付決定を待つ間も、必要な日常の安全対策まで先延ばしにしないことが大切です。


福岡・糸島で、事業を守るIT導入をお考えの方へ

セキュリティ対策は、大変重要な対応ですが、考え方が難しい分野でもあります。社内の知見で解決できない場合は、そのままにせず、専門家への相談をおすすめします。

都留行政書士事務所では、SE・プロジェクトマネージャーとしての経験を生かし、お客様のIT環境を踏まえた補助金活用のご相談をお受けします。

デジタル化・AI導入補助金2026 セキュリティ対策推進枠の活用をきっかけに、自社のITセキュリティ対策を考えてみませんか。

公式資料・出典

申請時は最新の公募要領・手引き・対象サービスの登録内容をご確認ください。

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