デジタル化・AI導入補助金2026 通常枠|業務ソフトの費用・条件と失敗しない選び方

デジタル化・AI導入補助金2026|通常枠の条件と活用 補助金・給付金

情報確認日:2026年9月22日。デジタル化・AI導入補助金2026・通常枠の公募要領(2026年8月28日更新)に基づいています。

「見積書の内容を、受注台帳や請求書へ何度も入力している」「担当者が休むと、案件の進み具合が分からない」「月末の集計に追われ、本来の仕事に時間を使えない」。こうした業務の見直しに活用を検討できるのが、デジタル化・AI導入補助金の通常枠です。

販売管理、在庫管理、勤怠・給与、会計、業種に特化した業務ソフトなど、事務局に登録されたITツールの導入を支援します。製造業、建設業、小売業、卸売業、サービス業などの事業者をはじめ個人事業主も要件を満たせば対象になります。

この記事では、福岡・糸島の中小企業・小規模事業者の皆さまへ、通常枠の条件と費用の考え方、SE・プロジェクトマネージャーの視点によるIT導入の進め方をご紹介します。

通常枠でまず押さえたいこと

  • 補助率は原則1/2以内。所定の賃金要件を満たす場合は2/3以内です。
  • 補助額は5万円以上450万円以下。150万円を境に、必要なプロセス数や賃上げ要件が変わります。
  • 登録されたソフトウェアの導入が必須です。通常枠ではPC・タブレット等の購入費は対象に含まれません。
  • 契約・発注は交付決定後。補助金を受け取る前に、導入費用を支払うための資金が必要です。

出典:公式・通常枠、公募要領・本文19頁


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通常枠を、データを活かして仕事と経営を変える一歩に

通常枠の目的は、ITツールを使って労働生産性を高めることです。その導入を、業務のデータをつなぎ、顧客対応や経営判断を変えていくきっかけとして考えてみませんか。

例えば、見積・受注・在庫・請求の情報がデータ化できていれば、転記の手間を減らすとともに、担当者だけではなく管理者も取引の状況や実績を確認し、経営判断につなげることが可能になります。案件あるいは商品ごとの売上と原価、利益を把握できれば、価格設定や仕事の進め方を見直せます。

こうした変化を積み重ねることが、身近な業務からDXを進める第一歩になります。製品を選ぶ前に、どの情報を共有し、誰が、何を判断できるようにしたいかを整理しましょう。

いまの課題IT・データ活用の例目指す仕事・経営の変化
見積・受注・請求の情報が別々で、顧客対応が担当者頼み顧客・商談履歴と販売・請求情報を共有する担当者以外も経緯を把握し、迅速な対応や継続的な提案につなげる
在庫や納期が見えず、受注・仕入れの判断が経験頼み受注・在庫・生産の情報を連携し、状況を見える化する欠品や過剰在庫を抑えるとともに、売上時期の予測確度を高める
現場の進捗や原価が、月末まで分からない日報・作業時間・材料費を案件ごとに集約する遅れや採算の悪化を早めに把握し、人員配置や原材料費を見直す
勤怠データを給与計算だけに使い、業務の偏りが見えない勤怠・給与を連携し、部署や業務ごとの負荷を把握する負担の偏りを踏まえて分担や配置を見直し、無理なく仕事を回す

大切なのは、導入後に「何を見える化したいのか」「判断や対応をどう変えたいのか」を考えることです。それを定量的に計測するための指標(KPI)、例えば、処理(作業)時間、顧客への回答時間、欠品件数、案件別・商品別の利益率など、自社の目的に合う指標を設定しましょう。※KPI:Key Performance Indicator

「AI導入補助金」ですが、AIの搭載は必須ではありません

通常枠は、AI搭載ソフトだけを対象とする制度ではありません。登録されたITツールが所定の業務プロセスを持ち、生産性向上に役立つことが基本です。AIの搭載有無や機能概要は、公式のITツール検索で確認できます。

出典:公募要領・本文17~18頁、公式・ITツール検索

対象となる事業者は? 個人事業主も検討できます

対象は、国内で事業を営む中小企業・小規模事業者等です。主な会社・個人事業主の規模基準は次のとおりです。会社は原則として資本金または従業員数のいずれか、個人事業主は従業員数で確認します。

主な業種資本金・出資総額常時使用する従業員数
製造業(ゴム製品製造業を除く)・建設業・運輸業3億円以下300人以下
卸売業1億円以下100人以下
サービス業(ソフトウェア業・情報処理サービス業等)5,000万円以下100人以下
小売業5,000万円以下50人以下

上表は代表的な業種の抜粋です。その他業種や、医療法人、社会福祉法人、NPO法人などにも別途基準設定があります。また、規模が基準内でも、大企業との資本関係などによって対象外になる場合があります。過去の交付決定歴によっては賃上げ等の追加要件が適用されます。

本制度における「小規模事業者」の定義

会社・個人事業主については、業種と「常時使用する従業員」の数により、次の基準で判断します。

業種常時使用する従業員数
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)5人以下
サービス業のうち宿泊業・娯楽業20人以下
製造業その他20人以下

「常時使用する従業員」とは、労働基準法第20条に規定する、あらかじめ解雇の予告を必要とする者です。会社役員や個人事業主本人は含みません。パート・アルバイトという呼び方だけで除外せず、雇用の実態に即して確認します。

なお、医療法人・社会福祉法人・学校法人・NPO法人など、公募要領の中小企業等の定義⑨~⑮に掲げる組織形態は、本制度では小規模事業者に該当しません。

出典:公式・申請の対象となる方、公募要領・本文8~16頁

補助率は原則1/2、補助額は5万円から450万円

補助金の申請額必要なプロセス数基本の補助率
5万円以上150万円未満1種類以上の業務プロセス1/2以内
所定の賃金要件を満たす場合は2/3以内
150万円以上450万円以下4種類以上のプロセス
業務プロセスを含むことが必要

補助率2/3は、過去の賃金状況に関する条件があります

2024年10月から2025年9月までの間に、その時点の地域別最低賃金以上で、かつ2025年度改定の地域別最低賃金未満で雇用していた従業員が、全従業員の30%以上となる月が3か月以上あることなどが条件です。所定の賃金状況報告シートで示します。

出典:公募要領・本文19頁、同22頁(提出様式)

「4プロセス」とは? ソフトを4本買うという意味ではありません

プロセスとは、ITツールが対応する仕事の種類です。主に、顧客対応・販売支援、決済・資金回収、供給・在庫・物流、会計・財務、総務・人事・給与等、業種固有の業務に区分されています。

種別分類プロセス名
業務プロセス共通プロセス顧客対応・販売支援
決済・債権債務・資金回収
供給・在庫・物流
会計・財務・経営
総務・人事・給与・労務・教育訓練・法務・情シス・統合業務
業種特化型プロセス業種固有プロセス
汎用プロセス―汎用・自動化・分析ツール(業種・業務が限定されないが、生産性向上への寄与が認められる専用のソフトウェア)

数えるのは製品数やアカウント数ではなく、登録上のプロセスの種類です。同じ分類の機能を複数導入しても、その分だけプロセス数が増えるわけではありません。販売・在庫・会計などをまとめて扱うソフトも、登録されているプロセスを確認する必要があります。

また、汎用・自動化・分析ツールのプロセスだけでは申請できません。業務プロセスを持つソフトウェアと組み合わせる場合に、1プロセスとして数えることができます。見積りの段階で、IT導入支援事業者へ登録番号とプロセスの内訳を確認しましょう。

出典:公募要領・本文17~18頁

対象経費と、別に予算を用意したい費用

補助対象は、登録されたIT導入支援事業者が提供する、事前登録済みのITツールです。ソフトウェアが必須で、関連するオプションや導入支援も条件に応じて対象となります。

区分対象となるもの確認したい点
ソフトウェアソフトウェア購入費、クラウド利用料クラウド利用料等は最大2年分。製品・プランの登録内容を確認
オプション機能拡張、データ連携ツール、セキュリティ最大1年分。ソフトウェアと組み合わせて申請
役務導入・活用コンサルティング、設定、
マニュアル作成、研修、保守サポート
役務全体の補助対象経費は200万円まで。
保守サポートはソフトウェアの利用範囲内で最大2年分

設定・研修・保守にはソフトウェアとの登録上の組合せなどの条件があります。「見積書に載っている費用が、すべて補助対象」とは限りません。

一方、PC・タブレット等のハードウェア購入費、消費税、補助金の申請・報告の代行費などは、通常枠の補助対象に含まれません。

出典:公募要領・本文17~18頁

150万円以上の申請と過去交付決定を受けた事業者は賃上げ要件を確認

通常枠では、翌事業年度から3年間の事業計画を策定します。労働生産性について、原則として1年後に3%以上、計画期間の年平均でも3%以上の向上が必要です。過去に所定の年度・枠で交付決定を受けている場合は、4%以上となります。

加えて、賃上げ計画の扱いは次の通りです。

2022~2025年の
IT導入補助金の交付決定歴
補助金申請額150万円未満補助金申請額150万円以上
なし賃上げ計画は原則として加点項目1人当たり給与支給総額の年平均成長率3%以上、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上とする計画と、従業員への表明が必須
あり1人当たり給与支給総額の年平均成長率3.5%以上とする計画と、従業員への表明が必須左記の3.5%以上に加え、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上とする計画と、従業員への表明が必須

保険医療機関・保険薬局、所定の介護・社会福祉事業者、学校等には適用除外があります。個別に公募要領をご確認ください。

必須の賃上げ目標を達成できない場合や、必要な報告を行わない場合は、補助金の全部または一部の返還が必要となることがありますのでご注意ください。

以前本制度を利用した方は、「何年に、どの枠で交付決定を受けたか」が分かる通知等を用意すると確認が進めやすくなります。

出典:公募要領・本文10~14頁、別紙1・本文38~39頁

費用例:税抜120万円の導入で、いくら用意する?

次は、登録済みの業務ソフトと導入設定・研修の合計が税抜120万円で、すべて補助対象となり、補助率1/2が適用される場合の仮の試算です。製品相場や実際の見積額を示すものではありません。

項目試算額
補助対象経費(税抜)120万円
補助額(1/2)60万円
税抜費用についての自己負担60万円
先に支払う金額(全額に消費税10%がかかると仮定)132万円
補助金受領後の支出差額72万円

補助金は、導入・支払い・実績報告等を経て交付されます。自己負担が税抜60万円でも、先に132万円を支払う資金が必要です。上の支出差額は税務上の最終負担を示すものではなく、対象外の機器代や支援報酬があれば別途加算されます。

また、補助対象期間が終わった後も利用料は続きます。初期費用、毎月の利用料、更新・変更費用まで含めた総額で検討しましょう。

手続きの出典:公式・交付決定後に必要な手続き

SEの視点:導入前に確認したい5つのこと

ソフトウェアの導入は、仕事の進め方を見直す機会でもあります。最初から大がかりな業務分析をする必要はありません。自社で把握できる範囲から、次の5つを順に整理してみましょう。

1.どの業務・作業を改善したいのか

まずは、日々の仕事で「時間がかかる」「間違いや手戻りが多い」「特定の人しか分からない」と感じる作業を挙げます。

例えば、見積りから受注、納品、請求までの流れを紙に書き、誰が、何を見て、どこへ入力し、誰に渡しているかを整理してみてください。二重入力や確認待ち、情報が途切れる箇所が見つけやすくなります。

すべての業務を調べる必要はありません。実際の業務担当者の話を聞きながら、気になる業務を一つ選び、月の件数、おおよその作業時間、よく起こるミスを確認するところから始めましょう。

2.自社に合った「あるべき仕事の流れ」を考える

次に、現在の手順をそのままソフトに置き換えるのではなく、どのような流れに変えたいかを考えます。

例えば、「受注情報を一度入力すれば、納品・請求まで引き継げる」「担当者が休んでも、案件の状況を確認できる」といった姿です。減らす作業だけでなく、入力する人、確認する人、情報を共有するタイミングも整理します。

目指すのは、いまの人員や体制で無理なく運用でき、少し工夫すれば手が届く姿です。「導入時に実現すること」と「慣れてから取り組むこと」を分けると、背伸びしすぎない計画になります。

3.目指す流れと、ソフトウェアの違いを確かめる

ソフトウェアは、機能の多さだけでなく、2で考えた仕事の流れにどこまで近づけるかで比較します。普段使う帳票や取引例をもとに、実際の業務機能(画面・帳票等)をデモで見せてもらいましょう。

確認したいのは、標準機能でできること、設定や連携が必要なこと、できないことの違いです。取消しや修正など、イレギュラー業務についても確かめます。

合わない部分は、自社の手順を変えるのか、別の機能と連携するのか、手作業で補うのかを決めます。ただし、手作業が増えすぎては改善につながりません。法令・取引上欠かせない条件は守りながら、残る手間と費用を比べて選びましょう。

4.新しい仕事の進め方を、社内に定着させる

導入研修では、ボタンの操作だけでなく、「誰が、いつ入力し、誰が確認し、次にどう進めるか」まで共有します。仕事の進め方を変える理由も伝えることが大切です。

実際の業務に近い事例で練習し、担当者ごとの手順や、迷いやすい点を簡単なマニュアルにまとめましょう。少人数の事業所でも、質問先や社内の取りまとめ役を決めておくと、判断がばらつきにくくなります。

最初は一部の案件で試し、問題を直してから対象を広げる方法もあります。導入して終わりではなく、使い始めてから困りごとを聞き、手順を調整する時間を確保しましょう。

5.使い続ける費用と、日々の保守・障害対応を確認する

費用は、ソフトウェアの利用料だけではありません。利用人数の追加、サポート、パソコン等の機器更新、通信環境なども含め、継続して負担できるかを確認します。

日々の運用では、アップデート、利用者・権限の管理、バックアップなどについて、サービス提供者と自社のどちらが担当するかを明確にします。クラウドサービスでも、データの保存期間や復元できる範囲、解約時の取り出し方法は確認が必要です。

また、システムが止まったとき、誰に連絡し、復旧までどう仕事を続けるかも決めておきましょう。問い合わせ窓口の受付時間、サポート範囲などの確認も必要です。

補助金を使ってソフトウェアを購入することではなく、仕事の流れを変え、無理なく使い続けられる状態をつくること。その視点で準備すると、導入の目的と必要な支援が明確になります。

申請から導入・報告までの流れ

課題と予算を整理する

改善したい業務、利用人数、導入時期、資金を確認します。

登録済みITツールとIT導入支援事業者を選ぶ

見積り・デモで機能と対象経費を確認します。この段階では契約・発注しません。

GビズIDプライム、SECURITY ACTION、必要書類を準備する

SECURITY ACTIONは一つ星または二つ星が必要で、第2回公募以降は2026年4月運用開始の管理システムでの宣言が条件です。

事業計画を作成し、電子申請する

IT導入支援事業者と共同で準備し、申請者が内容を確認・宣誓して提出します。

交付決定後に契約・発注し、導入・支払いを行う

必要な設定・研修も含め、事業実施期間内に進めます。

実績報告を行い、額の確定・交付を受ける

請求・支払い・利用実態を確認できる資料を揃え、提出します。

継続利用と効果報告に対応する

生産性や賃金等の実績を、指定された期間に報告します。

法人は登記事項・納税・決算関係、個人事業主は本人確認・納税・確定申告・決算関係の指定書類を準備します。補助率2/3の適用には賃金状況報告シートが必要で、加点項目に応じた追加資料も確認します。GビズIDや申請マイページのID・パスワードは、IT導入支援事業者を含む第三者へ渡さず、ご自身で管理してください。

出典:公式・新規申請の流れ、公募要領・本文9~11頁、同21~22頁、同30~34頁

余裕をもって申請の準備を

第6次締切分のスケジュールは以下の通りです。
※第7次締切分は2026年12月1日(火)17:00

手続き日程
6次交付申請締切2026年10月30日(金)17時
交付決定2026年12月10日(木)予定
事業実施・実績報告期限2027年5月31日(月)17時予定

その後の募集回や変更は、公式の事業スケジュールをご確認ください。契約できるのは交付決定後です。希望する稼働開始日に間に合うか、データ移行や研修の期間も含めて見積もりましょう。


福岡・糸島で、業務ソフトの導入を検討している方へ

「自社に合うソフトが分からない」「提案された機能が本当に必要か判断したい」「補助金を利用した場合の費用と条件を整理したい」。都留行政書士事務所では、こうした段階からご相談を承っています。

SE・プロジェクトマネージャーとしての経験を生かし、現在の業務、必要な機能、費用、導入の順序を一緒に整理します。補助金の条件と実際の運用を照らし合わせ、事業者ご自身が納得して進められる計画づくりを支援します。

ご相談の際は、現在利用しているソフトの有無、手間のかかる作業、利用人数、導入希望時期をお知らせください。提案書や見積書がある場合は、具体的な検討に役立ちます。通常枠の申請は登録されたIT導入支援事業者と進める制度ですので、関係者の役割と当事務所の支援範囲・費用を事前に確認します。

出典・申請前に確認したい公式情報

本記事は通常枠の主な条件と導入検討のポイントを紹介するもので、すべての申請要件を網羅するものではありません。申請時には最新の公募要領・マニュアルをご確認ください。製品や経費の対象可否、交付の判断は事務局の審査によります。

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