システムエンジニア時代の話①

システムエンジニア

自己紹介の意味も含め私のシステムエンジニア時代の話を書こうと思います。

私は大学卒業後同じ会社で30数年間システムエンジニアとして仕事をしていました。システムエンジニアと言ってもいろんな職種がありますが、私は業務系SE、アプリケーションエンジニアとして仕事をしていました。専門領域は流通業です。

営業職希望で入社

私は商学部出身ということもあり、もともとはSEになりたかったわけではなく営業職が希望でした。ですが私の入社した会社は基本全員が技術職での採用で3か月間の研修の後に営業職希望者は営業部門に配属されるという配属プロセスでした。ですので仕方なく技術職研修に参加することで私の社会人生活は始まりました。当時九州としての採用は150名ほど、うち120名ほどは理系出身者で基礎的なコンピューターの知識がある人も多く、文系出身でコンピューターのキーボードを触ったことすらない(当時はまだWindowsOSなどがない時代でしたので)私は研修に全くついていけず完全におちこぼれてしまいました。わからないことばかりの研修がとにかく辛く、3か月の新入社員研修の間10日以上も研修を休んで(さぼって)しまいました。多分今でもやぶられていない新入社員のさぼり記録です(笑)

何を売るのか知りたい!

新入社員研修期間の3か月過ぎようとする頃配属の希望調査がありました。私はそこで当初の希望とは全く違う技術職(SE職)を選びました。なぜ営業ではなくSEになることを選択したのか?それは自分が営業として「何を売るのか?」それを知りたいと思ったからです。技術を習得しコンピューターシステムで何ができるのか?お客様にどんな価値を提供することができるのか?それを知らずに営業をしてもお客様に寄り添うことができない。そう思い5年後に営業職になることを目指しまずはSEとして頑張ってみることを決めました。

SEがきていない

配属の希望は業務系SE(アプリケーションエンジニア)、希望領域は小売業でした。誰にも身近な業種で、かつ、お客様に一番近いところで仕事ができる業務領域だと思ったからです。その希望はかない小売業対応グループに配属になりました。配属後おおよそ2か月間は徹底的にプログラミングの仕事でした。仕事と言っても半分研修的意味合いのもので、先輩社員の作ったプログラム仕様書をもとにプログラムの製造とテスト(単体テスト)の繰り返し。ですがその2か月間で新入社員研修中には全く理解できなかったプログラミングもある程度手ごたえを感じるようになりました。

お客様対応のデビュー戦は新人1年目のお盆が終わる頃でした。先輩社員に同行しお客様の本社を訪問。緊張の中、情報システム部門の皆様に名刺をお配りしつつご挨拶。期待に胸をふくらませた初めてのお客様訪問でしたが、仕事はそんなにあまいものではなく、最初の最初からお客様の厳しい洗礼を受けました。

客先に先輩社員が同行してくれたのは名刺を配った初回だけで、その後は新人の私一人での訪問となりました。その当時、お客様は各店舗に新型のPOSシステムを展開されており、私の初仕事はその導入支援でした。POSシステムの設定や動作確認であったり、商品やカテゴリーのマスタ設定であったりです。ですので店舗を訪問しての作業になります。店舗の事務所にPOSシステムのコントローラー(今でいうサーバー)がありそこで設定作業を行うのですのですが、私が作業をしていると私の背後から情報システム部門の課長様(以後A課長)の声が聞こえます。私の上司に電話をかけているようです。「**さん(私の上司)、うちはおたくから高額なPOSシステムを買っているのにSEは誰もこないのか?」

確かに新人で未熟な私ではありましたが、この言葉にはかなりの衝撃を受けたことを憶えています。私の背後でそんな会話が続くもので仕事も手につかず逃げ出したくなった記憶があります。A課長はとても厳しい方で、私が話しかけても目を合わせても頂けず返事をしてもくださらずで、作業中に聞きたいことや確認したいことがあるときなどはとても困りました。本当につらく、まだ入社半年程度の私は、”選んだ仕事を間違えた”...毎日そんなことを思っていました。

コーヒーでも飲もうか

お客様のPOSシステム展開は月に2店舗ほどのペースでしたのでその後も数店舗つらい状況が続きました。ですが翌年の3月!私にとっての奇跡がおこりました。

ある店舗での作業中の出来事。私はいつものようにPOSシステムの設定作業を行っておりました。事務所のPOSコントローラーでPOSレジの設定を行ったあとPOSレジにアプリケーションや設定情報のダウンロードが必要なので、私は店内に入り作業を行っておりました。1階のPOSレジへのダウンロードがすべて終わり2階に向かう途中...私が小走りで階段を上っていると2階からA課長が下りてこられました。すれ違いさまに「おつかれさまです」と声をかえ通り過ぎようとした私に、「**さん(私)..」との声が。驚き振り返った私に対して「その作業が終わったらコーヒーでも飲もうか」とのA課長のお言葉が。もう何が起こったのかわからず頭の中が真っ白になり…気がつけば涙があふれていた記憶が残っています。

つらい環境の中ではありましたが、確実に誠実にとにかく無事にお客様の新POSシステムが稼働するように。そんな思いで仕事を続けていたつもりでおりましたが、それがお客様に届いた!そんな気持ちになり本当に嬉しく思いました。

A課長はとても厳しい方ではありましたが、会社をよりよくしたいという思いと仕事に対する責任感がとても強く本当に素晴らしい方でした。その後20数年間おつきあいを頂きましたが今でも心から尊敬している方ですし、私に”仕事が何か”を教えてくださった方だと思っています。

結局私は入社当初の希望であった営業職には就くことがなく最後までSEとしてシステムインテグレーションの仕事に携わることになりましたが、今思えばこの出来事でSEという仕事の素晴らしさに気づき、SEという仕事に魅かれ始めたのだと思います。

長くなりましたのでここまでにいたします。